カンペチェ
カンペチェ(1540年創建)は、メキシコでも屈指の「植民都市としての原型がよく残る街」と見なされることが多い。節度があり、陽光に満ち、静かな自負をたたえている。メキシコ湾側から近づくと、歴史地区は驚くほど引き締まって感じられる。パステル色のファサード、石畳の通り、そしていまも城壁がなぞる低いスカイライン。堡塁や土塁は、広場と同じくらいに人の動きと街の気分を形づくっている。かつて海運の富は海賊を呼び寄せ、要塞化を不可欠にしたが、その防御の論理はのちにユネスコの評価を得る助けにもなった。現在、遺産観光は一定の人の流れをもたらしつつも、地域の暮らしを全面的に作り替えるには至っていない。生活の基盤はなおサービス業、漁業、地域交易にあり、近くに広がるマヤの景観は「テーマ」ではなく奥行きとして存在している。
タイプや場所で探す